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サムソンのこと

過去のコラムより
06.9.11

「優秀なウェブデザイナー」−といったらきっと昔のサムソンは怒っただろう。

サムソンはヒュース・テンのホームページを立ち上げ、管理してくれている人だ。香港で生まれ育ち、小学校でイギリスに留学、イギリスのパスポートを持つ。 日本のICU大学に留学して卒業、今のところ日本で生活している。時々エチオピアに行って写真を撮っている。カメラマン、ウェブデザイナー、英語教師。そ の中で彼が「優秀な」といわれて納得するのは職業としてのカメラマンだ。

主に舞台の写真を撮っているけれど写真の仕事だけで食べて行くのは難しい。そこで彼は写真以外の才能も発揮させる。英語教師としては引っ張りだこなので、 時々エチオピアに消えても生徒は待ち続けてくれる。ウェブデザイナーとしては友人と事務所を開き、いくつもホームページを立ち上げて実績がある。多才、と いうのは彼のような人を言うのだろう。自分では写真にこだわりがあるのだろうけれどコンピュータの知識、手腕、は普通人の追従を許さない。インターネット のページを開くと一瞬(と私には思える)のうちに、ページを読み内容を理解する。

自分が関わったホームページに次々と新しい、より優れた方法を見つけて取り入れる。ショッピングカートの仕組みをたちどころに調べて構築する。そんなわけ でヒュース・テンのホームページも常に前進している(のだがあとは私たちの準備しだいだ)が、なかなか彼の更新の要望に追いつけない。若者らしい純粋さと 繊細さ、時に押しの強さや性急さとで社会や私たちに怒ったり憤ったり。そうかと思うと自信にあふれた言葉のすぐうしろに傷ついたサムソンがいる。  

彼はたった4年日本の大学に行っただけで日本語をほぼ完璧にマスターした。読み書きでさえ。香港語(広東語や北京語ともかなり違うという)ともいうべき中 国語は母国語だから当然だがその他に英語と日本語がこれほどできればまず何をしても食べていかれるだろう。けれど青臭いサムソンは、自分はコンピュータの 知識で見られたくない、と肩ひじをはっていた。サムソンにとって英語や日本語の語学力で見られることはなおさら不本意だった。コンピュータや語学だけが自 分ではない、と思っている、もちろん私もそう思っている。  

そんなサムソンがやっと(才能があるのだから認めれば良いのに、と思っていたら)素直にウェブデザイナーを名乗った。そして今度は自分のホームページ(http://www.atashi.jp/) で始めて撮られる側になった。大学卒業以来好きな人はつくらない、と言っていた彼がエッフェル塔の下でバレンタインデーに待ち合わせた彼女に(恐らく)撮られた写真。  

旅は続く。ある程度の予定は持って出かけたが、いつ帰るかどこへ向かうかはっきりとは決まっていない。お金がなくなったら帰ってくるだろう。そういえば写 真もウェブのデザインも世界のどこにいるかはあまり問題にならない。それより文化の異なる人々に出会うことが何よりの宝になるだろう。サムソンはヒュー ス・テンの大切な友人だ。彼のことだから危険な場面に入り込むことはしないと思うが、無事に早く帰ってきて欲しい。沢山の写真と話を持って。 N記

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