過去のコラムより
05.9.10
「2002年の「ル−シー・リー展 静寂の美へ」に続き今回も、9/10日から
始まるニューオータニ美術館の「ルーシー・リー 器に見るモダニズム」を
お手伝いさせていただいた。
カタログもヒュース・テンで編集発行する。その写真撮影を信楽展で
実現出来なかった畠山崇さんにお願いすることにした。アメリカと日本を
行き来する仕事の合間に東京に来られた一日、無理をお願いして美術館に
来ていただく。
畠山さんのシャープで緊張感あふれる写真はまさにルーシー・リーの
作品にぴったりだ。時間と予算の関係で10カットを撮るが、あとから
集荷される作品は間に合わない。そこで友人の紹介でカメラマンA氏に
残りの写真を撮っていただくことにする。
「いつも手伝ってくれるわけではないんですが、ルーシー・リーの
作品は見たい、と言うので」ということでA氏の奥様もアシスタントとして
一緒に来られ る。撮影は一日。撮れるところまでということでディテールも
含めてかなりの数を撮っていただく。展覧会のカタログとして私が企画
した中では初めての、デジ タルによる写真となる。(「あとの」を取る)
その撮影にも間に合わない作品はディーラーの方がすでにもっている
データを使わせてもらい、また「目の眼」の カメラマンによる写真もお借りする。
カタログのデザインは前回のルーシー・リー展の会場設計も手掛けている
アトリエ71。デザインは建築家の視点なのでいつもおもしろい発見があり
評判が良い。
しかしなにしろ時間がない。言い訳にはならないが、写真の時間もない、
原稿にも時間をかけられない、ロンドンからの借用もぎりぎり。作品の
写真はもちろ ん間に合わないので送られて来たデータで入稿。最終校正が
月曜、オープンの土曜の朝ぎりぎりにカタログが届く事をひたすら願って
、というタイトスケジュー ル。
けれど今回は「静寂の美」で大きな人気を誇った一点を除いて多くが日本で
始めて紹介される作品である。バラエティーに富み非常に作品の質が高い。
またもう一つの見どころはバーナード・リーチのルーシー・リーに宛てた
最後のメッセージが世界で初めて公開されることだ。
このメモの重大性を見る時、捨てられたかもしれないこの手紙の下書きを
よくぞ探し出してくれた、そしてよくそれをルーシーに届けてくれた、と
この秘書の勇気に感謝せざるを得ない。それがなければこれは誰にも
知られる事無く処分されていただろう。
リーチが亡くなる3週間前に秘書に口述させた、この、ルーシーへの
手紙によって当時のリーチやルーシー、リーチの妻ジャネット等の状況が
明らかになる。 背景についてはまだ語れない部分はあるが、この手紙を
読めばそれ自体が語るだろう。読む人それぞれが解釈すれば良いのだと思う。
このメッセージの存在が明 らかになったのはつい一ヶ月前のことだった。
展覧会でご紹介できるのはとてもラッキーだ。
またモダニズムという観点からバウハウスの視点を体現するイームズの
椅子を会場に置き、自由にすわっていただく、というコーナーもデザイン
されている。 椅子にすわって目線に見えるルーシー・リーの作品が
シルエットだけでいかに美しいか、いかにルーシーらしいか強い印象を
見る人の心に刻み込まれることだろ う。
会場に入って正面には色の華麗な作品、左手には白やドロマイト釉の作品、
奥の部屋はレースのカーテンがかけられヨーロッパのどこかの家庭に、
ディナーウェアがならんでいる、という趣向だ。
70才代でこのような華やいだ作品を作ったルーシー・リーという作家の
偉大さに改めて感銘を受ける事でしょう、みなさん、どうぞ見にいらして
ください。美しさに思わず息をのむ作品群に出会えます。」
05.9.10
「2002年の「ル−シー・リー展 静寂の美へ」に続き今回も、9/10日から
始まるニューオータニ美術館の「ルーシー・リー 器に見るモダニズム」を
お手伝いさせていただいた。
カタログもヒュース・テンで編集発行する。その写真撮影を信楽展で
実現出来なかった畠山崇さんにお願いすることにした。アメリカと日本を
行き来する仕事の合間に東京に来られた一日、無理をお願いして美術館に
来ていただく。
畠山さんのシャープで緊張感あふれる写真はまさにルーシー・リーの
作品にぴったりだ。時間と予算の関係で10カットを撮るが、あとから
集荷される作品は間に合わない。そこで友人の紹介でカメラマンA氏に
残りの写真を撮っていただくことにする。
「いつも手伝ってくれるわけではないんですが、ルーシー・リーの
作品は見たい、と言うので」ということでA氏の奥様もアシスタントとして
一緒に来られ る。撮影は一日。撮れるところまでということでディテールも
含めてかなりの数を撮っていただく。展覧会のカタログとして私が企画
した中では初めての、デジ タルによる写真となる。(「あとの」を取る)
その撮影にも間に合わない作品はディーラーの方がすでにもっている
データを使わせてもらい、また「目の眼」の カメラマンによる写真もお借りする。
カタログのデザインは前回のルーシー・リー展の会場設計も手掛けている
アトリエ71。デザインは建築家の視点なのでいつもおもしろい発見があり
評判が良い。
しかしなにしろ時間がない。言い訳にはならないが、写真の時間もない、
原稿にも時間をかけられない、ロンドンからの借用もぎりぎり。作品の
写真はもちろ ん間に合わないので送られて来たデータで入稿。最終校正が
月曜、オープンの土曜の朝ぎりぎりにカタログが届く事をひたすら願って
、というタイトスケジュー ル。
けれど今回は「静寂の美」で大きな人気を誇った一点を除いて多くが日本で
始めて紹介される作品である。バラエティーに富み非常に作品の質が高い。
またもう一つの見どころはバーナード・リーチのルーシー・リーに宛てた
最後のメッセージが世界で初めて公開されることだ。
このメモの重大性を見る時、捨てられたかもしれないこの手紙の下書きを
よくぞ探し出してくれた、そしてよくそれをルーシーに届けてくれた、と
この秘書の勇気に感謝せざるを得ない。それがなければこれは誰にも
知られる事無く処分されていただろう。
リーチが亡くなる3週間前に秘書に口述させた、この、ルーシーへの
手紙によって当時のリーチやルーシー、リーチの妻ジャネット等の状況が
明らかになる。 背景についてはまだ語れない部分はあるが、この手紙を
読めばそれ自体が語るだろう。読む人それぞれが解釈すれば良いのだと思う。
このメッセージの存在が明 らかになったのはつい一ヶ月前のことだった。
展覧会でご紹介できるのはとてもラッキーだ。
またモダニズムという観点からバウハウスの視点を体現するイームズの
椅子を会場に置き、自由にすわっていただく、というコーナーもデザイン
されている。 椅子にすわって目線に見えるルーシー・リーの作品が
シルエットだけでいかに美しいか、いかにルーシーらしいか強い印象を
見る人の心に刻み込まれることだろ う。
会場に入って正面には色の華麗な作品、左手には白やドロマイト釉の作品、
奥の部屋はレースのカーテンがかけられヨーロッパのどこかの家庭に、
ディナーウェアがならんでいる、という趣向だ。
70才代でこのような華やいだ作品を作ったルーシー・リーという作家の
偉大さに改めて感銘を受ける事でしょう、みなさん、どうぞ見にいらして
ください。美しさに思わず息をのむ作品群に出会えます。」
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