
過去のコラムより
06.1.24
「貴方がここで出されたり購入したりする飲料や食物には、がんや
先天性欠陥症の原因となる化学物質が含まれていることがあります」
カリフォルニア州のホテルで、部屋にあるルームサービスメニューに、
「警告」の文字と共にそう書かれていた。
さらに、「フ レンチフライなど、高温で揚げた食物は、がんの原因と
なるアクリルアミド等を生成し、、、、ほとんどの魚介類にはがんや
出生異常を引き起こす水銀が含 まれています。特に子供や妊婦は
メカジキ、サバ、甘鯛などは避ける必要があります。、、、、、、
ビールやワイン等蒸留酒もがんのリスクを大きくします」
と、細かく記載されている。
別のホテルでも同じように「警告」と書かれたページが部屋の小冊子に挟んであった。
カリフォルニアで弁護士をしている知人にその話をしたら、州の条例で
そう書かないといけないことになっているのだという。いかにもアメリカ
らしい裁判対策であるとも受け取れるが、彼は続けて、
「道 路の脇に敷いてあるじゃりが見えるでしょう?この両脇にずっと続く
緑色の石はアスベストの原石で、これが大きな問題になっているのです。
カリフォルニ アに広く分布している石なので、その繊維が車の通行によって
細かくくだかれて飛び散ったり、地下水にも含まれる可能性を指摘されているのです」
と言う。
カ リフォルニアでは州政府が危険性の明記を定めているということだが、
いわばこれは世界のどこででも起こり得る危険性だろう。化学物質にいたっては
タバコに 限らず様々な物質ががんの危険性が指摘されているし、調べてみると
アスベストは日本でも熊本県宇城(うき)市で1970年まで採掘され、
石綿製品の製造は 1983年まで行われている。
イギリスの鉱山会社ケープ社はイギリスの石綿工場を68年に閉鎖したのに、
南アフリカでの操業は79年まで続けたという。その主な輸出先には
日本も含まれた。
ア スベストは日本中で、また世界各地で石綿は安価で便利な材料として
使われてきたのだ。身の回りに存在するのだから、個人のレベルでは
せめて防塵に注意をは らう、とか他に飛散するのを防ぐように取り扱う
とかを心がけるしかないだろう。これからも、今まで日常に使われて
いたものがある日突然危険だと判明するこ とが出てくるかもしれない。
陶芸の材料原料では扱い方によって危険 なものが沢山ある。鉛もかつて
幅広く釉薬に使われていたし、毒性のある原料もある。セラミックファイバーや、
それ自身に毒性のない原料でも粉末を吸い込ん では危険だし、また素手で
取り扱ってはいけないとされるものも数多い。アメリカの大学や教育現場では
粘土の粉が工房に散らからないよう、または清掃は防塵 マスクをするように、
と細かく注意される。
新聞の報道を見るにつけ、危険は遠いところの出来事ではないのだから、
自分や身近な人の健康を守るために出来るところで出来ることをしていく
ことが大事なのだ、と思ったことだ。
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