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祖師谷陶房と楽焼のワークショップ

          祖師谷陶房の看板、向かって右側が広いお教室になっている。
                  今回楽焼用に積み上げられたレンガの窯

         私が体験した楽焼茶碗、ピンクは粘土の色です。底の黒は籾による炭化の色


雑誌やインターネットで良く名前のでてくる祖師谷陶房。そこで開かれた楽焼の
ワークショップに参加させていただいた。

これは松下電工汐留ミュージアムで開催された「バーナード・リーチ」展の
ワークショップで、講師は野田耕一氏。東京芸大を卒業後陶芸家として、
ライターとして、カメラマンとして、、、幅広い活動をしておられる。

汐留ミュージアムの学芸の方も参加しての楽焼ワークショップは、
バーナード・リーチが始めて陶芸に出会うきっかけとなった楽についての
解説から始まり素焼きの茶碗に釉薬を塗り焼成して講評会という順序で
行われた。

見学させていただくつもりだったが、いざ素焼きのお茶碗が並べられ
好きなお茶碗を選んでやすりをかけて、という段になって見ているだけでは
つまらない、飛び入りで参加させていただいた。まず白粘土、赤粘土、中間、
の素焼きの中からお茶碗を選んで紙やすりをかけきれいにふきとる。
私は中間の(たぶん白と赤の混合)色のお茶碗を選んだ。

次は施釉。黒と透明釉のうち粘土の肌と出来れば窯変のわかりやすい
透明釉を選び刷毛で塗っていく。濃淡があるほうが趣があるので平均に
きれいに塗らなくても良いとの説明で一部粘土の素地を塗り残す。

施釉したお茶碗は電気の窯である程度乾かして準備する。湿気が残っていると
楽窯の中で爆裂するからとのことだ。

窯が1000℃近くなったときに一点ずつ窯のフタをあけ中に入れる。
2-30分して覗き、お茶碗の釉薬が透き通るように見えたら取り出して、
籾殻をしいたバケツに入れる。その中で炭化させ、取り出していくらか
さめたら次に水にいれて冷ます。それで焼き上がりだ。

それぞれ窯入れと取り出しを体験させてもらう。窯に長い火ばさみで
窯詰めしてわくわくしながら焼き上がりを待つ。最後に皆の歓声と共に
水から作品を取り出すとテーブルに並べる。内心はみんな自分の作品が
一番良いと思っている。そして愛おしいお茶碗と共に講評を聞く。

私のお茶碗は野田先生から「いろいろな窯変が出ていて、なかなか
おもしろい焼き上がりになったと思います」との評をいただいた。
窯が焼いてくれたわけだし、釉薬を塗ったことだけが自分の作業なので
面はゆいきがするがでも自分のお茶碗です、というのはなんとも
うれしいものだ。

ヒュース・テンでもアメリカの大学の教授を招いて本場の
アメリカン・ラクーのワークショップをしたけれど一言で違いをいうと
アメリカン・ラクーはワイルドでダイナミック。日本の楽焼は
お茶碗からして包み込むようなやさしさとていねいさがある。伝統で
つちかったきめこまやかな智恵と技法がある。野田さんもおっしゃって
いたが、日本の楽焼は文化でありアメリカン・ラクーは技法なのだ。

例えば今回は窯から取り出して籾殻のバケツに入れたけれど、
アメリカン・ラクーで私たちが使ったのは新聞紙だ。作品を入れたとたんに
バッと火が噴くのですぐにふたをする。また楽焼では籾殻から出した
お茶碗を少し冷ましてから水に入れる。アメリカン・ラクーでは
新聞バケツから出すとすぐに水につける。野田さんによると
この時まだ釉薬はやわらかいのですぐに水に入れると毛羽立ってしまう
とのことだった。なるほど、きちんと理由があるのだ、とわかった。

けれどアメリカン・ラクーでは毛羽だっても気にしない。水から
取り出した時にヤスリで作品をきれいに磨くのだ。反対に籾殻や新聞から
出した後空気に触れる時間が多いとせっかくの還元が酸化されてしまう
ので大急ぎで水につける。またその衝撃が作品に強度を与える、と考える。
しかも釉薬を塗ってから窯で完全に水分をとる、ということもしない。
粘土が違うのだろうか。

どちらの方法も知って良かった。ただ、日本の楽焼は奥が深く、
お茶を知らなくては話にならないなあと思いながら帰ってきた。

ところでリンクをさせるために祖師谷陶房のHPを開いたが、ここで
講師の顔写真と陶歴があるのに名前が載っていない。これは意図して
名前を載せていないのだろうか、といつも不思議に思うのです。

N記

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