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福島の陶芸家・近藤学氏の『月光』


福島県双葉郡浪江町、と聞いて人は何を思い浮かべるだろうか。311日以降、その地名の与える印象は大きく変わってしまった。311日以前は、陶芸を愛する者にとってまず思うのは「大堀相馬焼」(http://toukichirougama.com/index.html)だった。



今はもちろん、東日本大震災で壊滅的な被害を被った太平洋沿岸の町として記憶される。また福島第一原子力発電所事故によって半径20キロ圏内全域に避難指示の出された町として。

その浪江町にお住まいだった陶芸家・近藤学氏から「第43回日展に入選した」とのうれしい知らせを頂いた。氏は過去にも日展に入選しておられ、国の伝統工芸品に指定されている大堀相馬焼の陶吉郎窯の窯主として活躍しておられた。

ご自宅は原発から10キロにあり、 原発の事故後、着の身着のまま家を後にせざるを得なかった多くの避難人口のお一人だ。

「精神的には、しっかり地に足をつけて強い気持ちを持って頑張ろうと思ってはいるのですが、何故か夢の中にいるような時があります」
「何もかもが不安で、いろいろ考えると気が滅入ってしまうので、おかれた現状の中で精一杯やるしかないと割り切ることにしました」
とご自身のブログ( http://blog.toukichirougama.com/ )で揺れる心を書いておられる。

日展出品が復興の第一歩と位置づけておられたとのことで、まず目標のひとつを達成されたということだ。経験しないものには想像も出来ないほどの困難な思いをされていることだろう。微力ながら応援させていただきたいと願っている。

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